2021年NBAドラフト候補 ②Cade Cunningham ケイド・カニンガム #2
②Cade Cunningham #2
ケイド・カニンガム
身長 203cm(6’8”)
ウイングスパン 214cm(7’0.25”)
体重 100kg(220lb)
ウイングスパン 214cm(7’0.25”)
体重 100kg(220lb)
年齢 19.7歳(1年目)
ポジション PG/SG
似ている選手 Luka Doncic
似ている選手 Luka Doncic
G | MP | FG | FGA | FG% | 2P | 2PA | 2P% | 3P | 3PA | 3P% | FT | FTA | FT% | ORB | DRB | TRB | AST | STL | BLK | TOV | PF | PTS | |
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2020-21 | 27 | 35.4 | 6.5 | 14.8 | .438 | 4.2 | 9.1 | .461 | 2.3 | 5.7 | .400 | 4.9 | 5.8 | .846 | 0.7 | 5.5 | 6.2 | 3.5 | 1.6 | 0.8 | 4.0 | 2.5 | 20.1 |
概要
カニンガムは今ドラフトで1位指名が最有力視される選手。PGとしては十分すぎるサイズを持ち、高いシュート力と広い視野、攻守にわたる高いバスケットボールIQ、さらには非常に成熟したメンタルとリーダーシップまで兼ね備えるスーパースター候補である。どんな状況でもどこか余裕が感じられ、決めるべき時に決めきる強心臓は、すでにカレッジレベルではないだろう。
欠点はクイックネス。特にスピードのある選手とのマッチアップでは1on1で守り抜くのは難しい可能性があるため、また、ドリブル中に不意にスティールされるケースが目立つのは改善したいところ。
今後ハンドリングが成長すれば歴代屈指の名選手にさえなれる可能性を秘める逸材。
似た選手としてドンチッチを挙げたが、一番異なる点は、ドンチッチのプレーの土台となるのはペネトレイトとキックアウトであるのに対し、カニンガムはプルアップジャンパーである点。
長所
まず、カニンガムの最大の武器はシュート力である。プレーも基本的にはジャンプシュートを中心とした組み立てであり、特にミドルレンジの正確性とフォームの美しさは明らかにカレッジレベルを逸脱している。スリーポイント・ミドルレンジともにクイックなフォームが確立されており、またディフェンダーにタイトにマークされていてもドリブルから安定したシュートが打てる。特に現代のスター選手の必須テクニックとも言えるステップバックスリーも非常に完成度が高い。カニンガムのスリーポイント成功率40%はオープンスリーの少なさを考えると驚異的であると言える。また、NBA入りした後のシュート関連のスタッツと相関があるとされるフリースロー成功率も84.6%も素晴らしい数字となっている。
カニンガムの希少性は、これだけの得点能力に加えて広い視野を持ち合わせていることである。視野の広さを売りとする選手は例年それなりにいるが、これだけのシュート力を持ち合わせた選手はなかなか記憶にない。ただのパス1本であっても、大多数の選手よりももうほんの少しだけひきつけてパスを出せるため、ディフェンスのギャップをうまく作ることができる。現在の平均アシストは3.5本と平凡な数字ではあるが、これはチームメイトがどちらかというとディフェンス寄りの選手が多いことも影響しているかもしれない。トランジションでの視野の広さや、シュートを打ち切る最後の最後までパスの選択肢を残せるセンスがあることを考えると、ポテンシャルは十分。チームの環境が変わったりハンドリングが向上すればよりアシスト数は伸びるだろう(アシスト数がプレイメイキング能力のすべてではないが)。
カニンガムは試合の要所でサイズのミスマッチを突いたポストアップを仕掛けることがある。203㎝という身長や214㎝のウイングスパンだけでなく、フィジカルもフォワードとしてプレイできるだけのものがある。そのままサイズで押し切る、アップ&アンダーで躱す、ターンアラウンドからフェイダウェイジャンパーを打つなどバリエーションも豊富であり、サイズの劣るガード一人で守るのは難しい。このポストプレーにより相手にヘルプディフェンスを強要できるため、オフェンスの停滞時に非常に効果的に用いられている。
オフェンス面全般に言えることだが、カニンガムは非常に独特で柔らかいボールタッチを持つ。パスにせよシュートにせよ、ボールが手を離れる最後の最後まで完璧にボールをコントロールできているかのようなプレーが多い。現在でも非常に優秀なシューターではあるが、今後さらなるシュート力の向上の可能性もある。また、課題であるハンドリングについても同様に問題ないだろう。現状でも要所で切れのあるスピンムーブなど見せており、十分な成長が見込めると私は考えている。
シュートセレクションもいい。タフなロングジャンパーも体勢を崩さず安定して打てるため、そもそもバッドセレクションにはなりづらい選手ではあるが、それを除いても落ち着いた判断ができる。ドライブしてからの落ち着き具合が特に素晴らしく、安易にブロックされるようなシュートを打たない点が特に好ましい。
ファールをもらうのがうまい。フロップで積極的にファールをもらいに行くようなタイプではないが、フリースロー平均試投数5.8本は素晴らしい数字。相手がファールせざるを得ないようなシーンに持っていくのがうまい(特にミスマッチを突いたインサイドへの侵入など)。今後ハンドリングとファールドローの技術がさらに向上すればシュートタッチが悪くても試合を作れるエースへと成長できるか。
また、オフボールでもなかなかの動きの良さを見せる。サイズを生かしたスクリーンはその後の選択肢の多さもありなかなか効果的。今後フリーになって外でボールを受けるようなプレーも増やしたいところ。
サイズを生かしたリバウンドも魅力の一つである。特にディフェンスリバウンドでは非常に泥臭くボックスアウトする。エリートプレイヤーとしてはなかなか珍しい部類ではないだろうか。また、持ち前の視野の広さを生かして、ディフェンスリバウンドから鋭いアウトレットパスにつなげるシーンも多い。
ディフェンス面では判断の良さが光るシーンが多い。一人で守り切る能力自体はそれほど高くないが、積極的にチームメイトに指示を出しながら組織で守ることのできる選手である。ディフェンス時に非常にこまめに首を振りながらチームメイトの位置関係を確認する様子も見られる。また、攻守ともに戦術理解度が高いせいか、相手のオフェンスを読み切ってのスティールなども随所に見られる(平均1.6スティール)。トランジションでもよく走りよく戻る選手であり、ディフェンスを乱すことの少ない選手である。
フィジカル面では、ボディコントロールの良さが光る。パワーにあふれるという感じではないが、コンタクトしても体勢を大きく崩すことの少ない選手である。コンタクトしても視野の広さを失わず、最後まで周りがよく見える点も素晴らしい。また、サイズ相応の身体能力ではあるが、無駄な動きが少ない。
メンタル面でも申し分ない。前半はあまり体力を消耗しすぎないようにプレーしているような印象を受けるが(FG試投数も後半のほうがかなり多い)、それでも試合が膠着したり劣勢にないそうなときは1本確実に決める勝負強さを感じる。またクランチタイムに入るとギアを上げることができ、決めるべき時にステップバックスリーやプルアップジャンパーで試合を決める。勝ち方をよく知っている選手だと感じた。
先ほどディフェンス面のところで触れたが、カニンガムはリーダーシップにも優れる選手である。攻守で常に声を出せる選手であり、細かく指示を飛ばしながら試合をコントロールできる。またうまくいかない時間帯でもふてくされることなく誰よりも先にチームを鼓舞し、ベンチに下がった後も戻ってくる選手を真っ先に出迎える姿は大学生離れしたメンタリティの持ち主であると感じた。
短所
カニンガムの短所は決して多くはないが、一番気になるのはクイックネス不足によるディフェンスへの影響だろう。カレッジレベルでも小さく素早いガードなどには横の敏捷性が足りずついていけないシーンがみられる。ウイングスパンも含めてサイズは十分なので、NBAではウイングなどの大きめの選手にマッチアップさせたほうがいいだろう。
また、ターンオーバーがやや多い点も気になる(平均4.0ターンオーバー)。チームがオフェンス面のほとんどをカニンガムに頼っているチームであるためある程度ターンオーバーが増えるのは仕方がないが、トップで溜めている間や切り込む瞬間にスティールされるシーンが目立つのは修正したいところ。
ハンドリング自体もまだまだ成長する必要がある。NBAレベルのディフェンスを相手にするうえで、もっと切り込むためのバリエーションは欲しいところ。トランジションなどゴチャついた場面のほうが得意そうではあるが、ハーフコートでしっかり切り崩せるようになりたい。
予想指名順位
1位
上位にはいい選手が多数存在はするが、カニンガムはチームの歴史を変えられる選手になりうる。順位が落ちることがあるとすれば怪我か。
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