2020年NBAドラフト候補 ④Precious Achiuwa

 ④Precious Achiuwa #55


身長 206cm(6’9”)
ウイングスパン 219cm(7’2.25”) 
体重 102kg
年齢 21歳(一年生)
ポジション F
似ている選手 成長前のシアカム、ハークレス

概要

今年のドラフト候補の中でも屈指の身体能力とサイズを持ち合わせる選手。長いウイングスパンとフットワーク、ジャンプ力を生かしたプレーが持ち味で、横方向のアジリティに優れるため1~5番すべてのポジションにマッチアップできるディフェンダーになりうる。欠点は線の細さとあらゆるプレーにおける技術不足。ジャンプシュートや自らオフェンスをクリエイトする能力だけでなく、リム周りでのフィニッシュ力にも大きな課題が残る。またハッスルプレーが少ないことも欠点。粗削りではあるが、1年生という若さと天性のポテンシャルを各チームはどこまで評価するか。

長所

アチューワの最大の長所はサイズと身体能力である。身長こそ206cmと特筆すべきサイズではないが、219cmのウイングスパンと274cm(9フィート)のスタンディングリーチはNBAでも大きな武器となるだろう。身体能力もすさまじく、コート走破力だけでなくジャンプ力、フットワークもすばらしい。

特に概要にも示したように、横方向のアジリティはこのサイズの選手の中では群を抜いて高く、ペリメーターディフェンダーとしても高いポテンシャルを感じる。高い機動力によってコーナースリーなどの外まで追いかけていけることも可能。現代のNBAの流行にマッチしたディフェンダーとして期待ができる。

ディフェンスのスタッツを見ても、一試合平均1.1スティール 1.9ブロックは1年生の数字としては十分。

また動き出しだけでなくトップスピードからのストップにも優れる。非常に軽やかに体を制止することができるため、いずれハンドリングやシュート力を上達させることができれば、レナードのようなストップ&ゴーの能力を活かしたオフェンスができるようになる可能性もある。

一試合平均でオフェンスリバウンド3.0本、ディフェンスリバウンド7.8本は中々。ただし短所の欄でもう一度触れるが、あまりハッスルを見せるタイプではないので、NBAの選手を相手に競ったリバウンドを奪えるかは不透明な部分が大きい。

高いジャンプ力を生かしたアリウープフィニッシャ―としても期待が持てる。スクリーナーとして、より成長することができればオフェンスでも存在感を出すことができるか。

短所

アチューワがNBAで活躍するためにはいくつもの課題を乗り越える必要がある。

まずはフィジカルの弱さが挙げられる。インサイドで戦うには線が細すぎる。ポジション争いにおいてカレッジレベルでも相当の苦戦をしている現状を変えなければ難しいだろう。逆に言えば、身体さえできれば現状すでにある程度の評価を得ているディフェンスやリバウンドでの飛躍も望めるかもしれない。

次にインサイドでの決定力不足が挙げられる。その身体能力を活かしてインサイドでの得点は何とか挙げてもらいたいところだが、リム周りでのフィニッシュが直線的で工夫がなく、またフックやフローターなどの柔軟なフィニッシュを持ち合わせていないため、競り合ったインサイドでの被ブロックが多く決定力が低いことは大きな課題である。

また、ジャンプシュートも大きな弱点である。3PTが32.5%(試投1.3本)という数字自体も問題であるが、それ以上にシュートセレクションが悪いことやフォームが悪くリリースも遅めであることなども改善が必要となるだろう。フリースローも59.9%と低いが、こちらのフォームは意外にも悪くない。

自らオフェンスをクリエイトする能力はほぼない。セカンドチャンスなどでルーズボールを拾った際のリムアタックなどは、スピードを活かしたなかなか見どころのあるドライブを見せる。しかし特にハーフコートオフェンスにおいてはドリブル技術の拙さやパス技術の低さが目立つ。かといって外に開いてシューターとしての役割をこなせるわけではないので、オフェンスにおいて空気になっていることもしばしばである。

※2020/9/3追記 
ポストプレーは現状ほぼできない。現代のNBAにおいてポストでのオフェンススキルは以前ほどは重視されなくなってきているが、それでもスモールラインナップ対策や相手にスイッチディフェンスをさせにくくするためには、ミスマッチが生じた際に最低限のポストプレーの技術は欲しいところ。


ここまで技術面に絞って欠点を挙げてきたが、バスケットボールIQやメンタル面にも改善が必要な点がいくつかある。

まず攻守問わず全体としてIQの低さが感じられる。オフェンスにおいては先述のとおりであるが、ディフェンスについてもヘルプに出た際もそばまで寄ってくるだけで何もしないといったボールウォッチャー気味な点が問題となるだろう。攻守ともにオフボールの動きが悪いため、いわゆるラジコンタイプとしての能力も現状高くない。

また、攻守の切り替えが遅いことも非常に気になる。特に試合の中盤以降になると、ガードクラスの足がありながらも最後尾をチンタラ歩いているようなシーンも多くなってくる。

攻守の切り替え以外にもこの選手はハッスルプレーは少なく、いわゆる「サボリ」のように見えるシーンが見受けられるため、「粗削りでもいいから身体能力と運動量でルーズボールやディフェンスにハッスルしてくれれば」のように考えていると期待外れに終わる可能性もある。

予想指名順位

10~15位

完成度の高い選手ではないが今ドラフト随一の素材である。各チームが欠点をどうとらえるかによって順位が大きく動く可能性もある。

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